GO WEST

4年の海外生活を経て夏に帰国。毎日のこと、気ままな雑記 

コロナの次は人種差別問題

ある日の夕方、私は買い物中。店内のあらゆる人のスマホからアラートが鳴り出した。

なにごとなにごと!?トルネードが発生するような予報はなかったし、アンバーアラート?(※アンバーアラートは誘拐事件発生時に容疑者情報が発令される)と画面を見ると、見慣れないCurfewの文字。はて、なんじゃいな。

 

わからない単語も雰囲気で察する能力だけは身に着いた駐在生活なので、何か良からぬことが起こっていて、外に出るなということなのだな、とわかった。

夜10時から朝6時までの夜間外出禁止である。

 

メモリアルデーに、黒人のジョージ フロイドさんが警察の尋問中に亡くなった事件で、全米で、もう世界中かな、人種差別に対する抗議活動が広がっている。オハイオ州でもダウンタウンや州議会の建物の前で抗議活動が行われ、一部の人が暴徒化し、建物が壊されたり、略奪が起こった。

これはとても残念なことだ。

人種差別への抗議活動は賛成だけど、その後の略奪はただの便乗にしか見えない。これがセットになると、なんだか抗議活動自体が悪いことに見えてしまうではないか。

人は悪いことに目が行きがちなのだ。

各地で大なり小なりの抗議活動があるけども、ほとんどは平和的な抗議活動だ。

特に昼間はね。

 

f:id:ntamie:20200610000706p:plain

ふと足元を見ると。。。

人種差別問題について、私には認識が足りないと思うことが多々ある。外国人がとても珍しい日本の田舎で育った私には、何が、どういうことが差別なのかすら、よくわかっていない。

ここ、アメリカで外国人として暮らしているけれども、まわりには日本人だけじゃないアジア人もたくさんいて、自分だけ違うとは感じたことがない。肌の色はみんな違う。白人も黒人も、黄色い人も茶色い人も、どれがマイノリティーかと思うほど普通にいっぱいいて、外国人もいればアメリカ人もいる。国籍のある人も永住権を持っている人も、駐在や留学で一時的に住んでいる人も、いっぱいいる。話しかけられて、私の英語がネイティブではないのを知って「どこから来たの?」と聞かれることはあっても、それでひどい扱いを受けたことはない。

 

私が住んでいるエリアは比較的裕福な層、医療従事者や教育関係者などが住まっているとよく言われる。よって、治安が良く、日本人も好んで住む。そんなところにいる人たちは、生活に余裕もあるし、教養もある。

ここら辺の人は人種差別はしない。多分。

人種差別する=上品じゃない、スマートじゃない、残念な人

この件について特に話をしたわけじゃないけど、そんな雰囲気を感じるからだ。

 

人種差別についてアメリカの学校ではどう教えられているんだろうか?

本(私が読むのはアメリカの学校で生徒にお勧めする本)を読むと、主人公が移民や難民などのマイノリティで、あるところでは差別を受けるパターンが多い。こういうことを学ぶ科目があるのかな?

なんだか、人種差別は良くないよねー、みたいな暗黙のルールぽい雰囲気もなくもない。息子らに聞いても、そんな授業はなく、わからないという。ただ、息子たちの学年でやらないだけで、他の学年では勉強するのかもしれないけど。

 

去年、テレビドラマで見たシーンがとても印象的だった。

黒人のお父さんが息子と語らうシーン。

お父さん「お前も大きくなったから知っとくべきだ。将来お前の身を守る大事なことを教えるよ。私たちは白人がする以上に常に礼儀正しくあるべきなんだよ」

息子「それは僕らが黒人だから?」

お父さん「残念だけど、そうだよ」

このドラマはゴールデンタイムに放送されているものだ。このシーン、アメリカ人の皆はどういう思いで見るのだろう。

 

移民や外国人が受ける、いわゆる私たちが想像するところのマイノリティとしての人種差別と、黒人が受ける人種差別は、ちょっと別物な印象がする。なんかもっと濃くて深い。

アメリカにもともといたのはネイティブアメリカン(今はこう呼ぶのが良いらしい)の人たち。そこへ、ヨーロッパからやってきた白人。そして奴隷として連れてこられた黒人。白人と黒人、この時点では上下関係ははっきりしてる。その後の南北戦争を契機に、黒人は奴隷から解放され、徐々に権利を獲得してきたのだ。

世界史を勉強していれば、この辺の複雑に入り組んだ事情も分かるのだろうか。

それにしても、どっちも土着の民ではないし、それでも、アメリカを築いた人たちだ。

どうにかならないものか。

 

 

ということで、夜間外出禁止令は、1週間ほどで解除になったけど、街のあちこちでは今でも(平和的)抗議活動をしているところに出くわすことがある。連日の暑さにも負けず、抗議活動をしている人々。彼らの強い気持ちを感じる次第である。人種差別問題はとても複雑で、たかだか4年住んだだけの、基礎知識も薄い外国人が語れる話題ではないのだが、やっぱり、この世の中は人種によって扱いに差があってはならない。肌の色関係なく、皆お互いに対してリスペクトが必要だし、きちんと接しなくてはならない。

月並みですけど。。。