GO WEST

4年の海外生活を経て夏に帰国。毎日のこと、気ままな雑記 

アメリカのPTA:PTOの世界をちらっと垣間見る

アメリカでは、PTAじゃなく、PTOという。

まだ、渡米して日が浅く右も左もわけが分からん頃。
子供の通う学校でPTOミーティングがあるから保護者の皆さんぜひともご参加を、というお知らせメールが来た。
私としては、新年度早々だったし、これは日本で言う保護者総会的なもんだろうと、思ったわけだ。
これは行かねばならんだろうと。

日本ではPTAの活動をやっていたことがあり、いろいろ大変さは知っているつもり。
もちろん楽しさも、やりがいも。
自分の時間を捧げて活動してくれてる人に、一般保護者が感謝の気持ちを表すにはそのテの会には出席するのが良いと思っている。

ということで指定の日時に行ってみたら……おかしい。
PTA総会の割に駐車場の入りが少ない。
人の出入りも少なすぎる。
ちょっと早く来すぎちゃった?
それともアメリカ時間ってやつか?
はたまた、これは日にちを間違えた?

いろいろ疑問に思いつつも、校内に入り、会場であるカフェテリアに進んでいく。
カフェテリアにはテーブルがずらっと並んでて、一人の女性が準備らしきことをしてた。
彼女は笑顔で、どうぞ好きなとこに座って、と勧めてくれた。
先生かな、役員さんかな。
どうやら会合はあるらしい。いやしかし、予定時刻はもう間近だけど一向に人が来る気配がない。
テーブルが「ずらっと」とはいっても、あきらかに全校の保護者が座れる数ではないし。
ここらでやっと、気が付く。
これなんか絶対違う、保護者総会じゃない。では一体何なんだ。
どうしよう私。
でも今更帰るわけにもいかず、どよ〜〜んとして、はじーーっこに座る。

「じゃあ、時間になったので始めましょうか」
という頃に集まったのは10数名。
テーブルは1つで十分。

準備をしてた人は、会長さんだった。彼女が自己紹介をした後、
「じゃ、みなさんにも軽く自己紹介してもらいましょう(*^_^*)、ではこちらから」
と私の反対の方を示し、そこに座っている人から自己紹介が始まった。
おお、やべえ、まじでか。
人数が少ないから、無情にもほどなくして順番は回ってくる。
落ち着け、自己紹介くらいできるだろ、私!

私はたみーです。息子がこの学校に通っています。
夏休みの間に、日本からアメリカに来たばかりで、私たちには友達がまだいません。
だから、息子が楽しく通ってくれればうれしいと思っています。

夏休みに来ました、の下りで「Ooohhh!」と声が上がり、なんとか話し終えた後ひときわ大きな拍手をもらった。
はぁ、良かった。お母さんは頑張ったよ。


会の内容は保護者総会にちょっと近い感じだった。
今年度はこんな計画をしてて、予算はね・・・と話が進んでいく。
副会長はこの人です、会計をだれかやってくれない?みたいな感じ。
私の英語力では、大雑把なところしかわからない。
とりあえず、手元にプリントがあってよかった。なんとか間が持つ。

その会が無事に終わったら、役員に名乗りを上げてた一人のママさんが話しかけてきた。
「うちの息子、タイラーっていうんだけど、いつもあなたの息子のこと話してるわ。
同じクラスで活動してるみたいね。私はミシェル、よろしくね」
タイラーは、英語の話せない息子を何かと気遣ってくれてるのか、
いろいろと教えてくれるのだと息子が話してたのを思い出した。
いつもありがとう、助けられてるよ、と伝えた後、ちょっと聞いてみた。
「PTOミーティングには全保護者が来ると思ってたんだけど、こんなに少なくてびっくりしたよ」と。
するとミシェル、ちょっと首をすくめて、
「そうね、本当はもっと来てほしいけど、みんな忙しいからね」
みんな来てくれないのーとがっかりすることもなく、みんな参加すべきだと憤ることもなく。
こんなもんよ、という感じ。

そして私はもうそれ以来、PTOミーティングに参加することはなかったのだけど、
その学校で過ごすうちにちょっとわかったのは、
イベントごとにPTOが全保護者からボランティアや寄付を募る仕組みだということ。
ちょっとボランティアで学校に行って、お手伝いできるよという人はそうするし、
気持ちはあるけど行けないわという人は、物やお金を寄付したり、
なんだかんだと必要な枠が埋まっていくのである。
よって、運営陣がすごく少なくても何とか回っちゃう。

なんだろう。
日本のPTAよりも気軽に参加できそうな雰囲気がある。
大きなイベントありきで人を集め、前もって着々と準備を進め、ぬかりなく事が運ぶように周到な準備が必要、なPTAではない。
きっとボランティアがいなければその企画はなくなるか、規模縮小くらいで企画自体も柔軟なのかもしれない。
そもそも、アメリカで「ボランティア」は何かの良いステータスのような印象を受ける。
「ああ、あの人そういうの好きだからね( ̄д ̄)」じゃなくて
「ああ、あの人そういう人だからね(^-^)」な感じ。わかる?この違い。
美徳のような。お金持ちという意味じゃなく、余裕があるというか。
うまく言えないけど。

日本でももっと気軽なPTAだったらいいのに。
恒例行事も、前のは盛り上がったとか、去年はしょぼかったとか、成功だとか、失敗だとか
そんなこと気にせずできたらいいのに。
役員さんが頑張りすぎるから、ほかの人たちが恐れをなして次期役員が決まりにくかったりするんじゃないかな。
ほかの人たちは、役員さんを当てにしすぎてお手伝いしようという気持ちが薄らいでるのかもな。
とか、いろいろ思っちゃうんだ。

息子たちは大きくなって、PTAという組織とはだんだん縁遠くなってきた今日この頃だけど。
時々そんなことを思うのだ。