GO WEST

4年の海外生活を経て夏に帰国。毎日のこと、気ままな雑記 

アメリカに行くってことは

それはいつもの何でもない日。仕事中にオットからのメールを受け取る。

「皆で相談したいことがあります」

離婚の相談?愛人とか隠し子?リストラ?いやいや、そんなことは思いつかなかったけど、真っ先に「海外赴任」というのが頭に浮かんだ。というのもオットは時々海外出張に行くようになっていたからだ。行き先はいつも中国。もしかしたらいつしか中国に海外赴任なのかもしれないな、と。それはなんとなく思っていた。

 

ところが、聞いてびっくり、行き先は北米だった。オットの会社の北米拠点があるインディアナ州ではなく、隣のオハイオ州だ。と、何気なく書けど、インディアナもオハイオも「えーと、それはどこでしょうか?」というくらい無知な私。頼みの夫も「オハイオ事情は聞ける知り合いもなく、全く分からない。でも他の企業の日本人はいっぱいいるらしいよ」のみ。

 

さて

 

友人知人に、オットが海外赴任でアメリカに住むといったら、まず賛否両論返ってくる。

賛…かどうかは分からないが、いいですねぇ、うらやましい、カッコいい、絶対行くべきだよ、応援する!、子供たちバイリンガルになれるじゃん。

否…やめときな!銃で殺されちゃうよ!!、え?まさか行くつもりなんじゃないだろうね、子供の将来を大人の都合で台無しにするのか、もったいない、英語できんの?などなど。

 

当時子供たちは高校入試を控えた中学生の長男と、中1の次男、小4の三男。

原則として家族帯同というのが会社の方針。子供の将来を考えて、英語が話せるようになるのはいいことだし、他の国の生活を経験できるのはいいことだと、我ら夫婦は帯同する方向だったけど、さすがに「否」の意見をさんざん聞いた日には、揺らぐ。

中高生がいきなり英語での授業になって勉強についていくのが絶対大変だよ、それはわかる。数年して戻ってきたところで、高校3年生になってからの受け入れ校なんてまずないよ、それもわかる。頑張っていい高校に入ったのに、それを棒に振って不確かな場所に行くのはもったいないし無謀では?、無謀かな。パパとママが英語が大丈夫で子供たちを十分サポートできるんならいいけど、出来ないでしょ?、う、それは・・・

本当に家族帯同するかどうかは悩みに悩んだけど、背中を押してくれたのは、双方の親。お義母さんは「帰ってくるまでお父さん(私にとってはお義父さんだ)生かしとくから。行っといで。」我が母上は「これからの時代に、子供たちにもいい経験になるよ。」

そして当の子供たちの気持ちも大事だから、もし長男がNoだったら諦めようと思ってた。メリット・デメリット、いろいろみんなで相談した挙句、長男は割とすんなり「でも俺は行きたいと思ってるよ」こりゃもう決まりでしょ。

海外子女教育教育振興財団にも相談に行った。相談員の先生は笑顔で「子供さん大きくて大変なこともあるでしょうけど、海外に行きたいっていう気持ちを持ってくれて嬉しいなぁ。是非行ってください!」

ありがとうございます、先生。もういい意見しか聞きません。

 

ということで

我が家はここにやってきた。

ふたを開けてみるまでは分からないもので、ここオハイオは日本人がめっちゃたくさんいる。どこに行っても必ず、日本人を見かける。学校も住むところも、日本人が多くてサポート体制があるところ、子供が寂しい思いをしないところと選んだのもあるけど、想像以上にたくさんいる。

渡米を決めたときのあの葛藤がまるで笑えてくるくらい。なんだったんだろう、あれ。でもね、ここにいる人達、子供さんの有無も、年齢もそれぞれ違うけど、皆同じようにいろいろ悩んで決めてきたはず。勝手ながら、同士のような繋がりを感じてしまう。

 

さて3年経った今、子供たちはどんなかというと。

英語は大丈夫。アメリカ人によると、彼らの英語には外国人のアクセントがあるけど、問題ないよ、とのこと。日本語も大丈夫。何しろ家では普通に日本語だから。

現地校でも日本人、アメリカ人両方の友達がいて、部活動にも楽しく参加してる。挙句、このごろ三男は「日本人が多すぎてちょっとだけ…嫌になることがある」らしい。散々お世話になっておいて何を言う。が、補習校ならともかく、現地校では何かと気を使うんだそうだ。無意識に、友達付き合いにも日本式とアメリカ式とで使い分けてる部分があるのかもしれない。

 

なぜこんなことを書いたのか。今でも、ふと、「ここに来たのは正しかったのか」と思っちゃうことがあるから。そんなこと考えたって、もうここにいるんだからしょうがないでしょう、と思うんだけど、どうしようもなく、そう考えてしまうこともあるのだ。

正しいか正しくないか、それは分からないけど、今は来て良かったと思っている。

そんなとこ。